気軽に始めるコーヒーの自家焙煎入門 -- その③ 生豆を用意しよう

気軽に始めるコーヒーの自家焙煎入門 -- その③ 生豆を用意しよう

これがなくては始まらない、コーヒー生豆を準備しよう

前回、焙煎に必要な道具について一つ一つ見ていった。
今回は、いよいよコーヒー生豆の選び方・入手方法について説明していく。

【目次】
   その③ 生豆を用意しよう         ←いまここ
   その④ 焙煎してみよう

コーヒー生豆ってどこで買えるの?

コーヒー生豆は、スーパーマーケットやデパートで普通に売っているものではない。
また、コーヒー専門店でも購入できない場合が多い。

その場でコーヒー豆を焙煎して販売しているような専門店では購入できる場合もあるが、
価格は基本的に焙煎済みのものと同額になり割高だし、
焙煎という技術を販売している店で技術抜きを注文、ということで不快に思われてしまう可能性もある。
もちろん快く割安で譲っていただけることもあるかもしれないが、
そうでない場合もあることは覚えておくこと。

なので、基本的には「コーヒー生豆の販売あり」と明言しているお店で買うことを推奨する。
そうは言っても、コーヒーの生豆を売ってくれるお店が近場にある人のほうが少数だろう。
そこで一番確実なのは、コーヒー生豆を販売しているネットショップを利用すること。

幸い、お店の選択肢は少なくない。
お店によっては独自のネットショップの他にAmazonに出品していたりするので、購入のハードルは高くないと思う。

リーズナブルな豆が多いお店、高級品ばかり扱っているお店、
特定の産地に強いお店等、お店ごとに個性があるためいろいろ比べてみると面白い。

なお実店舗での生豆購入についてだけど、
私は浅草のかっぱ橋道具屋街の「ユニオン」と浅草橋の「ワイルドコーヒー」の2店を利用したことがある。

どの豆を選んだらいいの?

いざ生豆を買おうとネットショップを見てみても、
何かよくわからない横文字が並んでいてどれを選んだらいいのか分からない、という人も多いと思う。
産地?精製方法?よく分からない、という場合でも安心な、とっておきの選び方を紹介する。

なんとなく気に入った豆、でOK

生豆を選ぶ基準だけど、何も難しく考える必要はないと思う。
どこかのお店で買って美味しかったもの、生豆屋さんの説明文を見て気になったもの、
よくわからないけどなんとなく名前に惹かれたもの、等何でも良い。
直感を大切にし、ピンときたやつを買うのが一番。

豆によって取り扱いや焙煎の難易度は変わってくるけど、
せっかく焙煎をするのだから、そんなことより自分の「好き」を優先したほうが楽しいはず。

注意点として、ロブスタ種(カネフォラ種)はとりあえず避けたほうが良い。
細かい説明は割愛するが、ロブスタはブレンドのアクセントにしたり製菓用に使ったりといった用途がメイン。
普通に淹れて飲むにはクセが強すぎるため、慣れてる人が明確な目的をもって使用するもの。

また、初めのうちは失敗することもあると思うので、あまり高価な豆はオススメしない。

そうはいっても選べない、という人のために
参考情報として簡単な選び方の基準と、オススメの豆、あまりオススメしない豆を挙げてみる。

精製方法について

コーヒーの実から種子であるコーヒー豆を取り出すためには、周りの実の部分を除去する必要がある。
この除去する手順を、精製という。

精製方法は、主にウォッシュトとナチュラルという2つのものがある。
その他、パルプドナチュラル(ハニー)やスマトラ式など。

ウォッシュトは、コーヒーの実を水洗し果肉部分を取り除いてから乾燥させる方法。
品質が比較的安定していてクリアな味わい。
欠点豆が少なく、選別が楽だという利点がある。

ナチュラルは、コーヒーの実をそのまま乾燥させた後、脱穀する方法。
甘みや香りが強めで個性的な味わい。
欠点豆は多いため、選別は面倒。

パルプドナチュラル(ハニー)は、皮や果肉は取り除くものの、
コーヒー豆の周りのヌルヌルした部分は残して乾燥させる方法。
特徴はウォッシュトとナチュラルの中間。
ヌルヌルの残し具合によって細かく分類されている場合もある。

スマトラ式は、その名の通りスマトラ島で行われている方法。
果肉を取り除いたコーヒー豆をヌルヌルがついた状態で半分乾燥させ、
脱穀してから再度乾燥させるという複雑な方法。
乾燥期間を短くするための方法だそう。
味は非常に特徴的。とりあえず飲んでみれば理解できるはず。
好みはわりとわかれる方。
欠点豆は非常に多い。しかも、カビ豆が多いので見逃すと大変。
総じて扱いづらい。

選別や焙煎の難易度でいうと、ウォッシュトが最も扱いやすい。

グレードについて

生豆の販売サイトを見ると、G1とかAAとかSHBとか、そいういった意味深な表記がある。
これはそのコーヒー豆のグレードをあらわす。

ただ、注意しなければならないのは、グレードは国によって評価の方法や基準がバラバラだということ。
同じG1という表記でも、産地が違えばその内容は全く違う。

評価方法は、豆のサイズ、欠点豆の数、産地の高度、精製方法等さまざま。

さらに注意しなければならないのが、
グレードの高い豆のほうがグレードの低い豆より美味しいかというと、必ずしもそうではないこと。
欠点豆が多いので低いグレードに分類されているような豆でも、
丁寧に欠点豆を取り除いてから焙煎すると驚くほど美味しくなったりする。

なので、グレードはあくまで参考情報だと考えたほうが良い。

また、生豆の見た目も同様で、一見すごく汚い豆が凄く美味しい、ということもよくある。

オススメの豆  ※個人の感想です

扱いやすさや価格を重視して、入門者にオススメの豆をいくつか挙げてみる。

  ・ブラジル サントス No.2
    コーヒー生産量世界一のブラジル。
    そのブラジルのサントス港から輸出されたコーヒー。
    No.2という表記だが、No.1は存在しないためこれが最高のグレード。
    入手性が良く安価で、欠点豆は多すぎず少なすぎず、焙煎難易度も高くない…と、
    焙煎の練習用に最適なスペック。
    ただし、流通量が非常に多い都合上大抵の人にとって飲みなれた系統の味であり、
    「こんな美味しいものを自分が焼いたのか」というような感動は得られにくいかもしれない。


  ・コロンビア スプレモ
    ブラジルと並ぶコーヒーの巨大産地、コロンビア。
     「スプレモ」は最高級のもの。ちなみにグレードの評価基準は豆の大きさ。
    ブラジルほどではないがそれなりに安価。
    それほどクセがなく多くの人に好まれる味だが、焙煎難易度はブラジルよりちょっと高い印象。    
    焼くのに失敗すると、ちょっと渋み?エグみ?のようなものが残る場合がある。



  ・タンザニア AA
    「キリマンジャロ」という呼称で有名なコーヒー。酸味が特徴的。
    この豆の良いところは、幅広い焙煎度で美味しく飲めること。
    焙煎度が想定よりも浅くなったり深くなったりしてもそれはそれで美味しく飲める可能性が高いので、
    煎り止めのタイミングに神経質にならなくても良い。


 ・グアテマラ SHB
   バランス型コーヒー、という印象のグアテマラ。
   グレードは産地の高度で分けられ、SHBは最高級。
   焙煎難易度は低いというわけではないが、そんなに妙な挙動はしない印象。
   あまり好き嫌いのない味なので、上手く焼けたら周りの人に飲んでもらいたくなるかも。

積極的にはオススメしない豆  ※個人の感想です

以下の豆は、ちょっとクセがあるため積極的にはオススメしない。
ただ、どれも美味しい豆なので「この豆が好きなんだ」という方は是非挑戦を。

  ・エチオピアやイエメンのナチュラル
    いわゆる「モカコーヒー」。
    何が問題かと言うと、欠点豆がとんでもなく多いのだ。
    モノによっては、全量の半分を捨てることになる場合も…
    ただ、味はとても美味しい。
    浅めの焙煎では爽やかな酸味、深い焙煎では甘みと芳醇な香り、と隙がない。
    若干好みが分かれるけど、私は大好き。

  ・マンデリン
    インドネシアのスマトラ島で生産されるコーヒー。
    精製方法は、上で紹介したスマトラ式。
    これも欠点豆が非常に多い。
    さらに悪いことに、欠点豆の中でもカビ豆が多いので、見落とすと一気に風味を損ねるし健康にも悪そう。
    焙煎難易度も高く、なかなか思うような味に仕上がらない。
    反面、上手く焙煎した時の味は唯一無二。
    基本的に上級者向けな印象。

生豆を買ったら焙煎…の前に選別(ハンドピック、ハンドソーティング)

無事に生豆を購入することができたら、すぐに焙煎…といきたいところだがそうはいかない。
購入したての生豆には、出来上がったコーヒーの味を悪くするようなものが含まれている。
これらを一つ一つ目視で取り除かなければならない。
面倒な作業だけど、これをやるかやらないかでコーヒーの味は大きく変わる。

この作業、慣例的に「ハンドピック」と呼ぶ人も多いのだけど、
「ハンドソーティグ」と呼ぶのが正しいらしい。
私はもっぱら日本語で「選別」と言っている。

さて、ここで何を取り除けばいいのかというところだけど、
最優先で取り除くべきは異物とカビ豆、発酵豆、未成熟豆。
これらは味に大きな悪影響を及ぼすので、必ず取り除きたい。

異物は見ればわかる。
カビ豆は豆の一部が黒くなってたり青くなってたりするやつ。
発酵豆は、他のと色が違うやつ。
未成熟豆は、妙に小さくて様子が変なやつ。

また、できるだけ取り除きたいのが、
割れ豆欠け豆、虫食い豆、貝殻豆(貝殻のような形状になっているやつ)。

白っぽい死豆も取り除きたいところだけど、死豆は生豆の段階で見分けるのが大変。
焙煎後は他と比べて色が薄いので分かりやすくなるので、焼き終わってから探すのがオススメ。
私は焙煎前後で2度選別するのが面倒なので、
死豆に関してはコーヒーを淹れる直前、豆を量る段階で取り除くようにしている。

この他、徹底的にこだわる人は豆のサイズを揃えたりピーベリー(丸っこいやつ)だけ抜き出したりするみたいだけど、
基本的にはそこまではしなくても大丈夫だと思う。

まとめ

今回は、生豆の買い方、選び方、選別について見ていった。
生豆は普通のコーヒー屋さんではなく生豆取扱店で買おう、
生豆は気に入ったものを選ぶのが一番、
選別はしっかりやろう、
というのがポイント。

次回は「その④ 焙煎してみよう」ということで、
いよいよ本番の焙煎方法について説明していく。


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