気軽に始めるコーヒーの自家焙煎入門 -- その② 必要な道具を揃えよう

気軽に始めるコーヒーの自家焙煎入門 -- その② 必要な道具を揃えよう


自家焙煎に必要な道具の選び方

前回の続き。
今回は、自家焙煎に必要な道具について詳しくみていく。

【目次】
   その② 必要な道具を揃えよう         ←いまここ

どんな道具が必要か

前回、自家焙煎に必要な道具として挙げたものは以下の通り。

  ・焙煎器 or 焙煎機
  ・↑の熱源
  ・コーヒーの生豆
  ・焼きあがった豆を入れる平ザル等
  ・冷却用のうちわ、扇風機、ドライヤー等
  ・瓶、キャニスター等の保存容器
  ・食品用スコップ等
  ・はかり

これらは、私が普段焙煎のために使用してる道具。
人によっては、不要なもの、足りないもの等があるかもしれないが、
とりあえずはこれらについて一つずつ見ていく。

ポイントとしては、なるべく高価すぎないものを使うこと。
特に、焙煎器(機)は高価なため、初めは鍋等で代用しても良いと思う。
その辺についても下で説明する。

なお「コーヒーの生豆」については、「その③ 生豆を用意しよう」で説明するため今回は割愛。

まずは焙煎器(機)…といきたいところだけど、その前に厄介な熱源選び

焙煎の道具選びにおいて、最も重要なのは言うまでもなく焙煎器具。
だけど、実はその前に非常に厄介な問題がある。
それが、「熱源」選び。

これはどういうことか。

焙煎機自体が熱源を持っているもの(基本的にとても高価)や、
アルコールランプを使用するハリオのRCR-50のような焙煎器を除き、
焙煎の熱源にはガスコンロを使用することになる。
炭火や薪という手段もあるが、火力が不安定になりがちで大変だと思う。

当たり前だけど、熱源付きの焙煎機を使用する場合、この項目は丸ごと飛ばしてOK

厄介なSiセンサー

ここで問題が一つ。
2008年にガスコンロの規制が強化されて以降、
2口以上の家庭用ガスコンロには、全ての口にSiセンサーを付けることが義務化されている。
Siセンサーというのは簡単に言えば鍋の過熱防止装置で、コンロの中心部に設置されているもの。
このセンサーが押し下げられ、かつセンサーの温度が設定された温度より低い場合のみ、
通常の火力で火を使うことができる、というもの。

このSiセンサー、コーヒーの焙煎とは致命的に相性が悪い。
どんな焙煎器具を使うにせよ、Siセンサー付きのコンロではまともに扱えないと考えたほうが良い。
また、Siセンサー付きコンロのもう一つの欠点として、熱効率の悪さが挙げられる。
中心部にセンサーを配置する都合上炎を外側に向ける必要があり、
その結果カロリーの割に加熱の効率が悪くなる。
炎が内側を向いている内炎式コンロは熱効率が良いが、ちょうどその逆の状態になっているのだ。

つまり、仮にSiセンサーが機能しなかったとしても、
Siセンサー用に作られたコンロは焙煎にはあまり適していない。

では、どうするか。

Siセンサーの取り付け義務のないガスコンロを入手する

では、一般家庭でSiセンサーのないコンロを使用することは不可能かというと、実はそうではない。
カセットコンロや1口のガスコンロは、Siセンサーの取り付けが義務化されていないのだ。

なので、コーヒーの焙煎のためにはカセットコンロや1口のガスコンロを入手するのが良い。
!!!!ただし、安全装置のついていない製品ということを踏まえ、火事等には十分注意すること!!!!

製品の選び方だけど、基本的にはできる限り高火力のものが良い。
なぜなら、高火力の製品を低火力で使うことはできるけど、
低火力の製品を高火力で使うことはできないから。
高火力のもののほうがいろいろ調整がきく。

特にカセットコンロの場合、それなりに上位の製品を買ったほうが良い。

据え置き型の場合、扱いが少し難しいが鋳物コンロだと高火力な物が多い。

最重要!!焙煎器具選び

さて、厄介な熱源選びが完了したら、いよいよ焙煎器具を選んでいく。
焙煎器具だが、大まかに以下のようなものが存在する。
それぞれの特徴について見ていく。
並び順は本格的なものから。

焙煎方法の「直火」、「熱風」、「半熱風」については、
初めはあまり気にしなくても良い。

小型焙煎機

  価格目安: 80,000円〜
  焙煎方法: 直火、熱風、半熱風
  一度に焙煎できる量: 250 〜 5,000g

焙煎をするための専用の機械。
本格的な焙煎ができる分、価格も青天井。

一般家庭用としては高価すぎるものが多いけど、
ジェネカフェあたりならぎりぎり手が出ないこともない?
とはいえ「気軽に」という本記事の趣旨から外れるのかも。

ドラム式焙煎器

  価格目安: 20,000 〜 100,000円
  焙煎方法: 穴あり→直火、穴なし→半熱風
  一度に焙煎できる量: 200 〜 1,000g

ガスコンロの上に設置してくるくる回して焙煎する焙煎器。
いわゆる「サンプルロースター」というジャンルで、プロの方も使用しているもの。
仕組みは原始的だけど、使い方次第でプロレベルのコーヒーが焼ける?
自由度が高い分、使いこなすのはちょっと慣れが必要。

一般家庭で焙煎にこだわるなら、こういうのを買って自分なりに改造していくのがオススメ。
私が使用しているのもこのドラム式。ユニオン サンプルロースターの穴なしタイプ。

ダンパー機能の有無、くるくるが電動か手動か、穴が開いているか開いていないか等、バリエーションはいろいろ。
高価だが、ガスを使う熱源つきのものもある。

既成品を買うと結構いい値段なので、手先の器用な人は自作しても良さそう。
オークションサイト等で自作品を売っている人もいる。

手網焙煎器

  価格目安: 800 〜 15,000円
  焙煎方法: 直火
  一度に焙煎できる量: 50 〜 200g

ここから先は、お手軽焙煎器。
まずはじめは、家庭焙煎の定番「手網」。
コーヒー生豆を入れた手網を火の上で振り、焙煎を行うもの。
分類にちょっと迷ったけど、アウベルクラフトの手回し網やミルク缶焙煎器はここに含むことにする。

これの一番のメリットは手軽さ。
100円ショップのザルで自作したり、銀杏煎り器を流用したりすることで、とても安価にスタート可能。
ちょっとお金を出せば温度計付きの手網なんてのも買うことができる。

「手網なんて…」と見くびるなかれ。
上手く使えばとても美味しいコーヒーが出来上がる。

欠点は、なによりその不安定さ。
網と火の距離で温度調整を行う都合上、ちょっとした操作で温度が急変。
また、常に網を振るため腕が疲れるのと、一度に焼くことができる豆の量が少ないのも難点。

セラミック焙煎器(焙烙)

  価格目安: 1,500 〜 5,000円
  焙煎方法: 半熱風?
  一度に焙煎できる量: 50gくらい

焙じ茶を作る器具、焙烙(ほうろく)でコーヒーを焼くこともできる。
使い方は手網と同じ。

手網と比較すると、焙煎方法が半熱風っぽくなり、
陶器の保熱性から安定性が高くなる。

欠点は、手網以上に一度の焙煎量が少ないこと。
また、一度コーヒー用に使ってしまうと強烈な臭いがつくので、お茶との兼用はオススメしない

鍋、フライパン等

  価格目安: 1,000 〜 3,000円?
  焙煎方法: ?
  一度に焙煎できる量: 100gくらいまで?

専用の器具はなくとも、普通の鍋やフライパンで焙煎をすることができる。
私の初めての焙煎は、中華鍋を使用したものだった。

要注意事項が一つ。フッ素樹脂加工(テフロン等)のフライパンは絶対に使わないこと!!
フライパンがダメになるだけでなく、有毒のガスが発生して危険!!

やったことはないが、土鍋で焙煎すると結構美味しいコーヒーが焼けるらしい。
IH対応の土鍋を使えば、ガスコンロではなくIHで焙煎ができるのかも。

あくまでお手軽な簡易手段のため、煎りムラができやすくきれいな見た目にするのは難しい。
でも、味は意外と美味しかったり。
お試しでとりあえずやってみる、というのにはぴったり。

使った器具にはコーヒーの臭いがつくので、料理用に使えなくなる可能性がある点には注意。

では、どれを選ぶ?

ここまでで挙げたもののうちどれを選ぶか、というところだけど、
とりあえずは[予算]、[一度に焙煎したい豆の量]で選ぶと良い。

焙煎器具にはそれぞれクセがあり、実際やってみないとわからないことも多いので、
初めから高価な焙煎器具を買うことはあまりオススメしない。
まずは手頃な値段のもので試し、それである程度感覚を掴んだら自分にあった器具を探す、
というのが良いのではないかと思う。

一度に焙煎できる量だが、これが少なすぎると
飲み頃を迎える前に焙煎した豆を飲みきってしまう、という事態が発生しがちなので、
ある程度まとまった量を焼ける器具がオススメ。

これらの理由より、ありあわせの鍋・フライパンや安価な手網でスタートし、
ある程度感覚がつかめたらステップアップしていくのがオススメ。
また、 鍋・フライパンや手網で満足できるものが焼けるようになったのなら、
無理に良いものに手を出そうとしなくても良いと思う。
簡単な器具でも家庭で楽しむレベルの美味しいコーヒーは焼けるし、上を見はじめるとキリがない。

その他の道具たち

平ザル

焼きあがったコーヒー豆を入れるザルが必要。
普通のザルでもできなくはないけど、豆同士の重なりが少なくなる平ザルがあると便利。
竹のものを使ったりすると雰囲気出るかも。

うちわ、扇風機、ドライヤー等

焼きあがったコーヒー豆は、焙煎の進行を止めるためすぐに冷やしたい。
なので、風を送るものが必要。
電動のものがあると便利だけど、初めは無料で配っているうちわとかで十分。

保存瓶、キャニスター等

焼きあがった豆は好きな容器に入れて保存しよう。
これは、見た目の好みで選んで良いと思う。

私のオススメは、Ballのメイソンジャー。
一時期のブームのせいで悪い印象を持っている人もいるかもしれないけど、シンプルで使い勝手良好。
普通のものより、ワイドマウスのほうが手入れやものの出し入れが楽。

食品用スコップ

焼きあがったコーヒー豆はとても熱い。
素手で触ると火傷するので、何か扱うための道具が必要。
大きめのスプーンでも良いけど、ステンレスの食品用スコップがあると便利。

はかり

コーヒー豆の重さを量るはかりは欲しい。
これは普通のキッチンスケールでOK。

まとめ

今回は、焙煎に使う道具について簡単に解説した。
焙煎器(機)の他に熱源選びも重要、というのが要点。
その他の道具については、安価なもので揃えても良い。

次回は「その③ 生豆を用意しよう」ということで、生豆の選び方・買い方・扱い方等について解説していく。

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