気軽に始めるコーヒーの自家焙煎入門 -- その① ことはじめ

気軽に始めるコーヒーの自家焙煎入門 -- その① ことはじめ

これからコーヒーの焙煎を始めたい、という人向けの入門記事(全4回)

コーヒーの焙煎に興味があるけど、なんとなく難しそうなイメージで二の足を踏んでいる、
そういうひとは結構いるのではないかと思う。
少しでもそんな人達の役に立てれば、ということで、
私なりの簡単なコーヒー焙煎の入門記事を書いてみようと思う。

コンセプトは「ご家庭で気軽に楽しむ焙煎」。
"究極に美味しいコーヒー" を作るのが目的ではなく、 
難しいこと抜きで日常の飲み物として普通に美味しく飲めるものを作れるようになるのがゴール。
なので、日々高みを目指して焙煎されている方々には、なんの役にも立たない内容になるかも。

その① の今回は、焙煎に関する考え方や必要な道具の一覧、焙煎の大まかな流れを書いてみる。

【目次】
   その① ことはじめ                   ←いまここ

「コーヒーの焙煎が難しい」というのは半分本当で半分ウソ

コーヒーの焙煎は非常に奥が深い。
ちょっとした温度の違い、加熱時間の違い、空気の流れ方の違いなどで、
出来上がったコーヒーの味は全く異なるものになる。

だからコーヒーの焙煎は難しい、というのは本当のこと。

だが、ここで少し考えてみて欲しい。
「美味しいコーヒー」というものには幅があるはず。
焙煎した豆の味に多少のブレがあったとしても、
それが「美味しいコーヒー」の範囲に収まるのであれば、
ご家庭レベルでの焙煎としては何も問題ないのではないか。

プロとして常に一定の品質のコーヒーをお客様に提供する、とか
生豆のポテンシャルの限界まで引き出した一杯を作り出す、とか
そういったことが目標であれば確かに焙煎はとても難しいもの。

それに対し、自分や身近な人々が美味しく飲めればいい、
というのが目的であれば、味のブレを「美味しいと感じられる範囲」から外れないようにすれば良いだけ。
ちょっとコツがいるし時には失敗することもあるだろうけど、それはそんなに難しいことではない。

これって焙煎以外でも同じことだと思う。
料理でも音楽でもスポーツでも、プロになるのは難しくても、
みんなでわいわい楽しめるレベルになら練習すれば誰でもなることができるはず。

コーヒーの焙煎だけが、他の物事と比べて特別難しい、ということは決してない。
是非、気軽に楽しもう。

自分でコーヒーを焙煎するメリットは?

美味しいコーヒーが飲みたいだけであれば、
普通にプロの方が焙煎した豆を買えば良い。

では、自分で焙煎を行うことのメリットとは?

飲み頃のコーヒーが確実に手に入る

焙煎後のコーヒー豆は、時間の経過で味や香りが大きく変化するデリケートなもの。
焙煎したてであれば美味しいのかといえばそうではなく、
焙煎から数日経過したあたりで急に美味しくなり、その後は緩やかに味が変化していく。

スーパーマーケット等で変えるコーヒー豆なんかは
美味しく飲める時期を大きく過ぎているものがほとんどだし、
専門店で買う場合もタイミングによって焙煎後の経過時間が変わってくる場合が多い。

それに対し、焙煎前の生豆は非常に保存性が高い。
保存環境さえ悪くなければ、大した劣化なしで年単位で保存可能。

生豆をストックしておいて適宜焙煎するようにすれば、
飲み頃の焙煎豆を好きなときに確実に手に入れることができることになる。

ローコスト

焙煎豆を普通に買うと、だいたい100g 500円 くらいの価格のものが多い。
それに対し、生豆は1kg 1,500円も出せばそれなりに良いものが手に入る。

ただし、1kgの生豆がそのまま同量の焙煎豆になるわけではない。
ものにもよるけど、だいたい選別(ハンドピック、ハンドソーティング)で10%減り、
焙煎でさらにそこから20%程度減る。

つまり、1kgの生豆からできあがる焙煎豆は、
1000 × 0.9 × 0.8 = 720g
くらい。

ここから1gあたりの豆自体の価格を計算すると、だいたいこんな感じ。
  既成の焙煎豆   : 1g  5円
  自分で焼いた豆: 1g  2.08円

焙煎にかかる手間の分をどう計算するかは人によるだろうけど、
毎日コーヒーを飲むような人であれば、自家焙煎のほうがローコストになるのではないかと思う。

豆の種類や焙煎度が自由自在

専門店でコーヒーを買うと、欲しい種類の豆がなかったり、
欲しい焙煎度の豆がなかったりすることも多い。

自分で焙煎する場合は、買うことのできる豆の種類は圧倒的に多いし、
好みの焙煎度に仕上げることができる。
あと、一般的に推奨されない焙煎度の豆(浅煎りのマンデリンとか)も、
好奇心の赴くまま作り出すことができる。
この豆にはこの焙煎度がいい、と言う情報は調べれば分かるけど、
推奨しない焙煎度だとなぜダメなのか、というのは自分でやってみないと分からない。

焙煎が純粋に楽しい

焙煎は楽しい。
緑色の生豆が見慣れたコーヒー豆になる過程を見るのは面白いし、
焙煎の腕はやればやるほど上達してくる。
美味しく焼けたときの達成感も良い。

初めて焼いた豆を淹れて恐る恐る口に運んだときの
「美味しい!」という感動は忘れられない。

自家焙煎の注意点は?

もちろん、自家焙煎はメリットだけではない。
以下のようなことには注意しなければならない。

臭い、煙、チャフ、油

コーヒー豆を焼くと、それなりに強い臭いが発生する。
それから、煙ももくもく出るため火災報知機とかが作動しないよう注意も必要。
煙は油混じりなので、換気扇も汚れそう。
あと、チャフ(豆の薄皮の燃えかす)も飛び散るため、事後の掃除も必須。

火傷に注意

焙煎は、かなり高温のものを扱う作業。
火傷には十分注意すること。

(特に慣れないうちは)焼き上がりの品質が安定しない

自分で焼いた豆は、プロの焼いたものと比べて品質が不安定になりがち。
時には失敗し、とてもまずいものが出来上がるときも。
確実に美味しいコーヒーが飲みたいときは、
やっぱり専門店で購入するのが確実。

自家焙煎に必要なもの、焙煎の流れ

ここで、焙煎に使うものや方法について簡単に触れる。
それぞれの詳細については、次回以降で詳しくみていく。

必要なもの

自家焙煎に必要なものは、大まかに以下の通り。

  ・焙煎器 or 焙煎機
  ・↑の熱源
  ・コーヒーの生豆
  ・焼きあがった豆を入れる平ザル等
  ・冷却用のうちわ、扇風機、ドライヤー等
  ・瓶、キャニスター等の保存容器
  ・食品用スコップ等
  ・はかり

焙煎の流れ 

焙煎の流れを簡単に書くと次のような感じ。

  ①生豆を選別(ハンドピック、ハンドソーティング)し、状態の悪い豆を捨てる
  ②豆の量をはかり、焙煎器具に入れて加熱する
  ③焙煎中は、小まめに温度調整し常に豆を撹拌する
  ④任意のタイミングで豆を取り出し、すぐに冷却する
  ⑤焼きあがった豆を保存容器に移す(しばらく置いた後に移すことを推奨)

今回のまとめ

今回の内容はこれでおしまい。

コーヒーの焙煎は難しいけど気軽に楽しめるよ、ということと、
自分で焙煎することには注意点もあるけどメリットも多いよ、
というのが今回の趣旨。

次回は、「その② 必要な道具を揃えよう」ということで、
揃える必要のある道具について詳しく触れていく。

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