超低予算だけど高倍率撮影にも対応可
最近、通常のクリップオンストロボでのマクロ撮影に不満が出てきた。
等倍越えの撮影をする場合、カメラの上にポン付けしたストロボではあまりに不便。
しかし、お金があまりないので高価なマクロ専用ストロボも買いたくない。
じゃあどうするか。金がないなら頭を使おう。
ということで、超低予算でなんとかしてみた。
とりあえず要件を整理
装置を作るにあたり、まずクリップオンストロボの問題点を整理。
以下の3つの課題を解決することを目的とした。
課題① 閃光時間を短くするのが難しい
ストロボを使う撮影では、シャッタースピードという概念はあまり問題にならない。
シャッターが開いていても感光するのは実質ストロボが光っている間だけなので、
とくに気にする必要はないのだ。
代わりに問題になるのが閃光時間(ストロボの光る時間)。
クリップオンストロボの閃光時間は数百~数万分の一と高速なので、
一般的な撮影ではこれもあまり問題にならない。
だが、マクロ撮影では話が別。
0.1mm単位のブレが致命傷になる世界なので、できる限り閃光時間は短くしたい。
では、どうすれば閃光時間を短くできるか。
知らない人も結構多いのだけど、ストロボの出力って光の強さではなく閃光時間の長さで調整している。
つまり閃光時間を短くするためには、できる限り出力を絞った状態でストロボを使用する必要がある。
あと、ストロボの出力を抑えると電池持ちが良くなるしストロボの寿命も延びるし
オーバーヒートもしにくいしで基本いいことだらけ。
あと、ストロボの出力を抑えると電池持ちが良くなるしストロボの寿命も延びるし
オーバーヒートもしにくいしで基本いいことだらけ。
しかし、マクロ撮影では被写界深度の関係でなるべく絞りたいのと、
露出倍数がかかるので、なるべく光量を確保する必要がある。
光源の位置をずらせないクリップオンストロボでは、
そんなこんなでストロボの出力を上げたくなってしまう。
課題② 高倍率撮影時、被写体に上手く光があたらない
ワーキングディスタンスの短い(レンズの先っぽと被写体が近い)状態の撮影をする場合、
カメラの上にストロボが乗った状態では上手く被写体に光が当たらないことがある。
平たく言うと、被写体がレンズの陰に入ってしまうということ。
課題③ 光の向きを変えることができない
写真撮影で重要なのは、光を操作すること。
光をどの向きから当てるかで、撮れる写真が全然違った印象になる。
しかし、クリップオンストロボではバウンスさせない限りは
基本的に光を正面から当てることしかできない。
バウンスできる環境がいつでもあるわけではないので、表現方法が大幅に制限されてしまう。
解決策 光源の位置を自由に変えられるようにしよう!
どうすればこの3つの課題を解決できるか。
簡単な話で、光源の位置を変えられればすべて解決する。
まず課題①の閃光時間の問題だけど、光の強さは進む距離の2乗に反比例し減衰する(逆2乗の法則)。
理由は単純で、光は縦横の2次元的に広がりながら進むから。
つまり、光量を増やしたいのであれば光の進む距離を減らせばいい。
普通の撮影ではストロボの位置をちょっと変えたくらいじゃ大して違いはないけど、
マクロ撮影ではちょっと光源をずらすだけで光量が激増する。
10mが9m95cmになったところで大して違いはないけど、15cmが10cmになるのは大きな差。
課題②と③は、光源を自由に動かせれば自然に解決する。
格安照明装置の作り方
ここからが本題。どんなものを作ったのか。
参考にしたのは、報道カメラマンがよく使ってるストロボブラケット。
あんな感じで、カメラの横にストロボを配置できるようにしたい。
行きついた答えは次のようなもの。
カメラの三脚穴にストロボブラケットを取り付け、
ブラケットの上に向き調整用の自由雲台を付け、
自由雲台の上にストロボを付ける。
で、カメラと自由雲台をケーブルで連動させる。
原始的な仕組みながら、光の向きを上、左右、下と自由に変えられる。
左右の切り替え時はカメラ取付部のネジを緩めてブラケットを180度回転させる。
下から光を当てる場合は、ブラケットのネジを一回抜いて自由雲台を逆さにつける。
若干まどろっこしいけども、慣れりゃなんてことないさ(多分)。
行きついた答えは次のようなもの。
カメラの三脚穴にストロボブラケットを取り付け、
ブラケットの上に向き調整用の自由雲台を付け、
自由雲台の上にストロボを付ける。
で、カメラと自由雲台をケーブルで連動させる。
原始的な仕組みながら、光の向きを上、左右、下と自由に変えられる。
左右の切り替え時はカメラ取付部のネジを緩めてブラケットを180度回転させる。
下から光を当てる場合は、ブラケットのネジを一回抜いて自由雲台を逆さにつける。
若干まどろっこしいけども、慣れりゃなんてことないさ(多分)。
必要な材料は以下の通り。
1.ストロボ本体
2.ストロボブラケット
3.自由雲台
4.シンクロ用のケーブル
何度かの試作を経て良い組み合わせが見つかったので、
一つ一つ紹介していく。
1.ストロボ本体
格安ストロボの定番NEEWER TT560を使った。
お値段約3,200円。
最小出力なら閃光時間2万分の1なので、高倍率撮影にも十分対応可。
報道カメラマンのようなL字型ブラケットもいいけど、上に乗せる自由雲台の動きを妨げてしまう。
なのでUTEBITのシンプルなストレートブラケットを使用。
約900円。
3.自由雲台
一番迷うパーツがこれ。
乗せるものが軽いので性能は良くなくていいけど、あまりに安物だと使用感が最悪。
とりあえず家に転がってたSlikの名品バル自由雲台を使ったけど、2000円くらいのやつで問題ないと思う。
4.シンクロ用のケーブル
地味に重要なのがこれ。
はじめはホットシューアダプター、シンクロケーブル、コールドシューの
3点セットで接続していたのだけど、屋外の虫撮りで使ったらケーブルが緩んで光らなくなることが多々。
そんな中、見つけたのがPIXEL オフカメラ シューコード。
これ、シンクロケーブルというより延長ホットシューなんだけど、
シンプルで緩む心配がないので最高に便利。
ホットシュー側に三脚穴が開いてるので自由雲台に直接取り付けられる点も良い。
約2,500円。
この他、必要に応じディフューザーでもしてやると良い。
早速使ってみた
次の写真。
風でグラグラ揺れているハエを撮ったのだけど、ストロボの出力を絞ることができたのでほとんどブレていない。
風でグラグラ揺れているハエを撮ったのだけど、ストロボの出力を絞ることができたのでほとんどブレていない。
あと、左斜め上(ハエの目側)から光を当てているので、
顔側が明るく尻側がやや暗く写っている。
利便性では高価なマクロ用アーム式ストロボにかなわないだろうけど、
安価で作ることができるので是非お試しを!
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