猛毒虫マメハンミョウの標本作り

猛毒虫マメハンミョウの標本作り

マメハンミョウ

※※ 注意 ※※
マメハンミョウはおとなしい虫ですが、身の危険を感じると猛毒の液体を分泌します。
皮膚につくと腫れ上がり、目に入れば失明の危険性もあるため、不用意に触れないようにしましょう。

毒薬「ハンミョウの粉」の原料 -- 美しい毒虫の標本作り

古来より暗殺に使われる「ハンミョウの粉」という毒薬がある。
ツチハンミョウの仲間の昆虫を乾燥させ粉末にしたものだ。
ツチハンミョウ科やカミキリモドキ科の仲間には、体液にカンタリジンという猛毒を含むものがいる。
このカンタリジン、致死量はわずか30mgほど。
数匹の小さな虫に含まれる量で人間一人が死んでしまうのだから恐ろしい。
さらには、飲まずとも皮膚に付着するだけでその部分が炎症を起こしとても痛いとのこと。
最近「危険な赤クワガタ」として有名になっている
ヒラズゲンセイもカンタリジンを含むツチハンミョウ科の昆虫だ。
なお、「ハンミョウ」とはいうもののハンミョウ科の仲間は無関係。
創作物だとキラキラ光る「道教え」ナミハンミョウが
すり潰されている描写をたまに見かけるが、あれは完全に人違い(虫違い?)。

また、ハンミョウ粉はまたの名を生薬「カンタリス」という。
ほんの少量用いることで、薬になるらしい。

先日田んぼのあぜ道を歩いていたところ、
ツチハンミョウ科の昆虫「マメハンミョウ」の大群に遭遇した。
ツチハンミョウ科の仲間は特異な生態を持つやつが多いが、このマメハンミョウも例に漏れず。
幼虫はバッタ類の卵を食べて育ち、成虫は主にマメ科の植物の葉を食べる。
バッタがいない場所には生息できないため、近年草地の減少に伴い数が減っているそう。

体は黒字に黄色のストライプ。真っ赤な頭が美しい。
毒持ちで捕食されることが少ないためか、動作はのんびりしている。

触ると毒液を出して危険なためちょっと迷ったのだが、
記録のため一匹捕獲して標本を作ってみることにした。

殺虫管に少量の酢酸エチルを染み込ませたティッシュを入れ、
マメハンミョウを一匹投入して蓋をする。
マメハンミョウは、身体から黄色い液を出しながらもがき、しばらくすると動かなくなる。


毒液が皮膚に付着しないようゴム手袋を装着し、慎重にマメハンミョウを殺虫管から取り出す。

虫は死ぬと脚や身体を丸めることが多いので、
標本にするためには姿勢を整えてやる必要がある。
  ※展肢(展足)と呼ばれる作業
不器用なうえに初心者だが、頑張って展肢してみた。

使った道具は、精密ピンセット(RUBISの MEISTER No.4)、柄つき針、脱脂綿。



カット綿の上に虫を乗せ、俯いてしまった首をグイっと持ち上げる。
内向きになってしまった脚を慎重に引っ張り出し、
突起をカット綿の毛羽に引っ掛けて固定する。
苦戦したのが前脚。
あまりに自由に動くため、どういう形にすればいいのか分からない。
最後に、触角と顎をなんとなく整える。
形はなるべく左右対称を目指したが、なかなか上手くいかない。
触りすぎて破損しても嫌なので、ほどほどのところで妥協。

これをシリカゲルと一緒に密封保存し、
一か月くらい乾燥させたら生息地と日付を記載したラベルと一緒に昆虫針に刺して完成。
標本箱に入れて、大切に保存したい。

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